公的年金の損得勘定

納めた年金は、いくら積み増しされるのか

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公的年金は、賦課方式(現役世代が高齢者の年金を負担する方式)が採用されていますが、基本的に年収が高いほど納める金額や受け取る金額も高くなるため、実感としては老後のための仕送りと感じられる方も多いでしょう。

公的年金が老後の仕送りだとすると、納めた年金はいくらとなって積み増しされていくのか。損得勘定の視点から見ていきましょう。

国民年金は、2021年時点の満額(約78万円)に、加入期間である40(年)を割ると、年間の積上額は約2万円となりますので、簡単に導き出すことができます。

一方、老齢厚生年金の受取額を計算するには、以下の計算式に当てはめて導く必要があります。

 

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厚生年金の計算式は以下となります。

『平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数』

仮に、年収500万円のひとが1年間働いたとすると、

年収※×5.481÷1000=2.7万円(100円以下四捨五入)

※今回はわかりやすく平均報酬額ではなく年収とする

上記の計算式に当てはめると、年収500万円の方は、

1年間で約2.7万円の年金額が反映されていることが理解できます。

これは1年間の結果ですので、年収500万円のまま40年間勤めた場合は、

厚生年金から毎年約108万円の年金を受け取れることになります。

国民年金は40年間で支給上限(78万円)に達しますので、合計186万円が支給されることになります。

意外と悪くない厚生年金の損得勘定

今度は、支払う保険料を見ていきましょう。

厚生年金の保険料率は平成29年9月から18.3%に固定されていますので、

『厚生年金の保険料=年収×18.3%』という計算式で1年間の保険料が算出できます。

また、厚生年金は労使折半のため、被保険者の実質負担率は『年収×9.15%』となり、

年収500万円のひとであれば『500万円×9.15%=約45.8万円』が1年間の概算保険料となります。

仮に年収500万円のまま、40年間年金を納め続けると、合計額は1832万円となります。

一方受取額は、78万円+108万円=186万円となるため、10年間で納めた額を上回ります。

このように損得勘定で考えてみると、年金制度も『意外と悪くない』ということがわかると思います。

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本計算はあくまで概算値によるものであり、

厳密には厚生年金の保険料徴収に適用される『標準報酬月額』や『標準賞与額』などの、細かい点は考慮していません。

実際には、カラ期間や保険料改定率など、様々な要因で年金の受取額は変動することが考えられますので、

お一人お一人のご状況に応じて、しっかり見直すことが必要となるでしょう。

ご自身の老後や年金について、より詳しく聞いてみたいという方は、遠慮なく私たちFPはーとさぽーと株式会社までお問合せください。